今年もツールド沖縄が終わった。
去年の「何も出来なくて〜沖縄〜」ではない、今はとても充実感を味わっている。
結果的にはお立ち台に上がる事は出来なくて、応援してくれた人や練習にお付き合いしてくれた方々には申し訳ないけど、自分の中では去年とは違う「充実感」があるので今までやってきたことは無駄ではない(と思いたい)し、去年の忘れ物はとり戻せたような気がする。
23日:今年は祝日でもあるので、木馬のみんなと出発。雨の中、名護に向かって車に乗り、前夜祭へ・・・。いつもと2週間も遅いので、思っていた以上に寒く、持ち合わせた衣装に不安がわいた。
2週間ほど前から風邪をひいてしまって、おまけに練習中に落車をしてあばらがしくしく痛い・・・。
骨折を疑うも、いまさら骨折してることが分かっても仕方ないので気にしちゃいられない。
おまけに、仕事の罠にはまって昼ごはんも食べられないほど忙しく、大丈夫かな〜と不安になっても仕方がないので、面白おかしく前夜祭終了。
24日:100q以上のレースコースである、普久川ダムを含む3ダム巡りのために、車で移動。
ゴールド免許コンビの相方であるダム部長と2人、何とか安波ダムへ向かう。
100q以上のレースに参加すると思われる人々が試走をしている間をかいくぐって、自転車でダムをめぐる。
試走している人たちは、ダムには目もくれず、コースを確かめているようだった。
そんな中、ダムは前日の雨のため、放流しておりカッコイイ。
めったに訪れることのないダムが放流しているとは中々運がいいではないか。とご機嫌になり、ダム巡り終了。
終了間際、雨がぽつぽつしてきて、風も強く、木馬のみんなが参加している「センチュリーライド」の道中を心配しつつ、普久川ダムの登りが、片側通行の多い道だったので、明日のレースに参加するNasuの人たちの無事を祈りつつ岐路に。
結局「センチュリーライド」に参加した木馬の人たちは、4人しか完走できないという大変厳しいサイクリングだったらしく、非常に疲れている模様だ。お疲れ様とねぎらいながら、明日のレースの出走リストを確認する。
国際レディース100qのメンバーを見つつ「ですよねー」と、いつもレースで一緒に走っている人たちの名前を見ながら、「やっぱり100qに出れば良かった」と思った。
これまで、いろいろ経験させてもらったり、アドバイスを受けたりしている中で、平坦よりもある程度の「登り」がある方が自分には向いている気がしていた。
逆に、ロードレースのだいご味を味わえる一方、50qレースは、駆け引きや、いろいろ考えながら走らないといけないので、難しい気がしていた。
しかし、去年の忘れものを取りに行くと自分で決めて出走するので、後戻りはできない。
気持ちを持ち直し、50qの出走リストをみて、去年は台湾の娘さんが大逃げしたので、台湾の娘さん達と、実業団レース(美浜)で負けた娘さん、あと、USAの娘さんをチェックし、ダム部長が「ゼッケンは去年のレースの早いもん順だよ、はっせ」と言うアドバイスをうけ、自分よりゼッケンNoの若い娘さんをチェックすることにした。
25日:朝、4時起床。昨日のような暴風にならない事を祈りつつ、朝食を取る。
昨日、センチュリーライドを走っている、木馬メイツを起こさないよう暗がりで・・・
荷物を預けたりしないといけないので、早めにホテルを出て、スタート地点へ。
LinさんやBeerさんを発見して、ジャージを「地味やなー」とほめてもらいつつ、お互いの健闘を祈る。
ダム部長とあれやこれやと話つつ、スタートを待っていると、マリーさんが声をかけてくれた。
ちょっと安心して、力をもらう。
スタート地点に並んでいる娘さんたちのゼッケンNoを確認しつつ、いざ、スタート。
スタートした瞬間は、緊張のため、手足がぶるぶる震える。
「大丈夫」と自分に言い聞かせ、さっと前に出た2人の後に着く。
しばらく走っていると、なんだか悪い予感がしたので、ちょっと集団から離れて見ると、後ろで「ガチャン」と落車の音がした。
怖い・・・
左に曲がるころには少し落ち着いて、この前、まとめた6つの事を思い出しながら走る事が出来ていた。
金髪の娘さんが、前をひく。
10番手位で追走しようと思うが、どんどん間があいて行く気がしたので、2番手まで位置をあげて追走する。
後ろを振り返ると、集団のままなので、無理はしない。
一瞬、このまま、この金髪の娘さんとランデブーになれば、逃げ切れるような気がしたが、英語で「このまま、ランデブーしましょう」と言う言葉が思い浮かばず、そのまま2番手で。
リゾネックス名護を過ぎたあたりから、直線の平坦になるので、出来るだけ足を温存するために、後方へ下がる。
それでも金髪の娘さんがガンガン行くので、前に出て先頭交代したり他の娘さんが、ローテーションするように動いてみる。
道が細くなるセメント工場のあたりから、集団の右側で様子をうかがっていると、前を走っている選手が、明らかに登りで遅れる気配だったので、パスしつつ、集団中ほどで走っている間も、金髪の娘さんが頑張っているようだ。
出走リストでチェックした、台湾の娘さん2人も確認し、もちろん、美浜で負けた娘さんたちも視界に納めて、このころはだいぶ落ち着いていた。
しかし、美浜の娘さんたちはいい位置で走っている。おまけに、金髪の娘さんは、ついこの前までの私みたいにいいペースで引いてくれる。
などと感心していると、本部のスプリントポイントから、川を渡るやや登っている橋に突入した。
ここは落車の危険が危ないので集団前方まで位置をあげて走る。
ここでも落車があったような音がした。
怖い・・・。
そこからは、アタックポイントである水族館の登りに備えて、集団中盤で様子をうかがう。
右に曲がるところで、1人、まっすぐ行こうとする娘さんがいたので「曲がれー」と声をかけて登りに突入。
去年はここで台湾の娘さん2人がさーっと行ったので、前を走っている金髪の娘さんと、右からの集団に気を配りつつほどほどにこなす。
2回目の登りに入ったところで少しペースを上げると先頭に出たので、後ろをうかがうと、やっぱり金髪の娘さんが先頭の集団がゴーっと追いかけてきたので、さっと集団に戻る事にした。
しかし、金髪の娘さんは強い。
そのまま、集団の中盤へ戻ればいいものの、2番目に入る。
せっかく、「地味だねー」ってほめてもらったジャージを着ているにも関わらず、ここまででだいぶ目立ってしまった。
まだ、集団は20人ほどいるようだ。
ゴールスプリントに自信のない私は、出来るだけ少数でゴール手前の曲がりに突入することが今日の課題。
理想は3人で突入し、どう転んでもお立ち台に登れるように自分でお膳立てをしなければならない。
このまま、金髪の娘さんに着いて行くと第2集団に追い付かれて人数が増えてしまうため、ペースが落ちれば前にでて、T字路になっているところで、少しペースを上げながら人数を絞り込む事にした。
しかし、金髪の娘さん以外は、金髪の娘さんに着いて行く事に決めているのか、前に出てこない・・・
集団の2番手で、今帰仁のスプリントポイントに突入したので、アタックをしかけて見る。
決まった。
本当は3人位着いてくるかと思っていたけど、誰も着いてこない。
下りながら、あの、金髪の娘さんが着いてきてくれれば、2人で回してペースを上げて巡航するのにと思いつつ、このまま逃げても、多分、娘さんがいるので、牽制が入らない集団に、右折する国道までに追いつかれてしまう恐れがあったので、集団に戻る事を選択する。
牽制が入らなければ、差は広がらないし、金髪の娘さんの後方で待機している娘さんたちの足は温存されたままなので、右に曲がってからゴールまでのアップダウンでやられれる恐れがあると思った。
集団の3番手に戻り、水分補給し集団の人数を確認するとまだまだ10人以上はいる様子だ。
絞らなければ・・・
右に曲がり、国道に入ったところで、マリーさんの声援が聞こえた。
先導車が、先を行くオーバー50を避けたりしているのか行く先が細くなったので、再びアタック。
このアタックは逃げるつもりではなかったので、直ぐに吸収される。
その時点で、最後のスプリントにかけていると思われる娘さんたちの顔色が先ほどの、「付いて行く」様子から、「逃がさない」というものに変わっている気がした。
どぅするか?
このまま、足を温存して、ゴールスプリントにかけて見てもいい気がしたけど、全く持って、美浜で負けた娘さんに勝てる気がしなかったし、後で、「あの時、かけていれば・・・・」と後悔したくなかったので、最後の坂で全身全霊のアタックをしかけて見ることにした。
その時、木馬の店長夫人FUNさんの声援が聞こえた。
去年は、緊張してテンパッて、もうどうすりゃいいのかトホホノホーって感じで走っていたので、FUNさんの声援も耳に届かず、ややがっかりさせてしまっていたので、FUNさんを確認できて、もうここしかない!!と強く思った。
坂を登り切り、下りも全開で踏む。
行けるか、どうかは運次第。
昨日のダムライドで、放流を見られたので、ついてるね・乗ってるね、はっせと自分自身を鼓舞し、踏み倒して後方を確認したら、差が着いていた。
よし。と思ってメーターを見ると後、2q残っている。
2qかと再度後方を確認したら、差が縮まっていた。
集団がごぉーっと近づいている。
怖い・・・
どうするか?
多分10人くらいには絞れているはずなので、最後の300mにかけるか?
戻って、ポッケに忍ばせたエネルギーを補給して直線で猛烈にこいで行けるのか?自分?
と考えているうちに、吸収される。
もう、こうなれば、300mにかけるしかない。
しかし、思った以上にちょこちょこしたアタックが、足に来ているようで、皆のスプリントに着いていけない。
エネルギーの補給をしている場合でもない。
後は、惰性でゴール。
後で、聞いた話では、最後のアタックをかけたところで、集団内では「このままでは、逃げられてしまうよ」と噂されていたらしい。
噂が流れなければ勝てたのか?
ゴール後、木馬メイツと合流したら、頑張って応援ポイントに行く間に、「はっせが逃げた!!」とアナウンスがあったので、全力で行ったのに間に合わなかったよーと言われ、そのままゴール出来ずにぬか喜びさせてごめん・・・って思った。
だけど、アナウンスで自分の勇姿を伝えてもらって、少しみんなをワクワクさせられて良かったって思った。
逃げ切れなくてしょんぼりしている私に、みんなが「勇姿見られなくてごめんよー」って言ってくれて、「こちらこそ、お立ち台で勇姿を見せられなくてごめんねー」って思いつつ、皆のお褒めの言葉に励まされてどん底まで気持ちが沈まずにいられて大変助かった。
皆さん、どうもありがとう。
ゴール後、緊張しつつ、金髪の娘さんを探して、あいさつしたら、日本語ぺらぺらだった・・・
あー、躊躇せずに「一緒に逃げましょう!!」って日本語で話しかければよかった・・・。と新婚さんいらっしゃいの三枝バリにこけたのは言うまでもない。
いろいろ反省する部分は多くあって、みんなをワクワクさせたり、がっかりさせたり、残念な気持ちもあるけれど、自分なりに考えた動きが出来たので、悔いはない。
スプリント力と逃げ切れない足の弱点が分かって良かったし、勝てなかったので、「何いうてんねん・・・」と思われるかもしれないけど、集団のさばき方みたいなものが出来たような気がする。(さばききれなかったけど・・・)
台に登って、次のステップに行けるとスッとするけど、台に登ってしまうと、そこで終わってしまう気もするので、負け惜しみではないけれど、台に登れないまま次のステップが見つかって良かったなって思う。
「なんだか、何を言っても負け惜しみだよなー」と思いつつ、間違いなく言えるのは、自分の中では、今年一番のロードレースだったこと。
沖縄タイムスの優勝者インタビューでは、優勝した人の作戦は「残り150mでスプリントをかけ、その作戦通りに勝てたので嬉しいです」とのこと。
私が、もっと強ければ、その人の作戦をなかったことに出来ると思うと、なんだか面白いなーって思うし、もっともっと強くなって、ロードレースを楽しみたいって思う。
お立ち台に登れなくて、最高のシーズン終了とはならなかったけど、来季へ向けて課題が見つかり、もっと頑張れる気がしたので、良かったことにする。
皆さん、応援ありがとうございました。
来季も頑張りますので、声援よろしくお願いします。
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