これからのコメンサルについて


7月のある日、一通のFAXが届いた。インターテックから、05モデルよりコメンサルバイクを取り扱う旨の連絡だった。どういうことだ?。良く意味が飲み込めなかった。

勿論、すぐにサローネ・デル・モンテの鎌苅君に電話を入れた。

いろいろあって、つまりはそういうことらしかった。要するに、05モデルよりサローネ・デル・モンテは国内のディストリビューターを降りるということだった。

しかし、これが実は日本国内のディストリビューターが変わると言うだけの事ではな かった。詳しくはサローネ・デル・モンテが 自社のサイト にて「コメンサル神話は崩れ去りました」と題する文章を発表しているので、ここでは詳しくは触れない。

アンカロがマックス・コメンサルの元に戻ってきて、再びレース界にコメンサルが戻ったとき、何となく、漠とした違和感を抱いたのを覚えている。コメンサルは決してレースバイクを作るブランドでは無かったからだ。勿論、結果としてレースにも使えるが、基本的には、乗って楽しいバイク、遊ぶためのバイクづくりが基本コメンサルのブランドコンセプトだった筈だ。

今から考えれば、やはりそのことは少なからず、今回のことと関係しているように思える。

人は変わるものだと思う。マックス・コメンサル氏も然り。

最初は本当にSUNN時代と同じ轍は踏まないと強く思っていたことだろう。いや、今だってそれは思っているのだろう。しかし、レースに対する欲望もまた、抑えがたいものだったのだろうと思う。あくまで推測の域を出ない話では有るが。

ブランドコンセプト自体は大きく変わってしまうわけでは無いだろう。ややレース志向のバイクも作られるようになるのかも知れない。けれど、基本的には乗って楽しいバイクを作り続けると思う。希望的観測も含まれる話しだが、それを我々はバイクを通じてしか知ることは出来ないし、逆に、バイクを通じて知ることが出来れば十分だとも言える。

コストを下げるために工場も換え、生産から塗装、アッセンブル、出荷に至るまで全てを台湾で行うと言うことは、それだけ、彼らの目が行き届かなくなると言うことではあるが、それが即、品質の低下を意味するわけでは無いはずだ。 回転木馬では05モデルも継続して扱うつもりでいる。なぜなら、バイクを通して確認したいことも有るからだ。自分自身が惚れ込んだコメンサルバイクがどうなるのか。惚れ込んだからにはきちんと見てみたい。

確かにサローネ・デル・モンテが言うところの「コメンサル神話」は崩れたのかも知れない。とはいえ、コメンサルの全てが変わってしまうわけでも無い。

ただ、ひとつ言えることは、04モデルまでのコメンサルバイクと05モデルからのコメンサルバイクは違うのかも知れないと言うことだ。後の時代になって「初期コメンサル」と位置づけられるのかも知れない。それは何年かが経過してみないと解らない。

今回のことで何より惜しいのは、サローネ・デル・モンテが国内のディストリビューターを降りてしまったこと。

彼らにとって、コメンサルバイクとは、良いバイクのひとつでは無く、良いバイクとはコメンサルだった。だから、その情熱も凄かった。ニューモデルの発表会では必ず全てのバイクに試乗する事が出来た。それも会場内を少し乗り回すだけではなく、ちゃんとしたトレイルでだ。

まずはそこでしっかりと試乗して、本当にその良さを理解した上で、お客さん達にも自信を持って勧められたのだ。或いは今後、それは出来なくなるのかも知れない。

そういうわけで、05モデルもやるつもりだし、また実際に05モデルを見て乗ってみないことには何とも言えないが、今のところ在庫の有る限りは04までのモデルを大切に売って行きたいと思っている。
(2004/08/31)

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