仏蘭西紀行

7 オレアン、ブルージュ

 一度市街地にはいると、そこから思ったルートに向けて街を脱出するのは、慣れなければ結構難しい。この日も迷いに迷って、結局シャルトルを離れることが出来たのは正午近く。まぁ、スタートも遅いのだけど…。パリを出て以来、天候に恵まれず、この日も曇天。テントの中で目が覚めてもなかなか行動が起こせないのは、そんな天候のせいでもある。(って言い訳だけどね)

この日、ボクはまずN.154に出なければならなかったのだが、3−4人の人々に尋ねまくって、やっとの思いで出ることが出来た。N.154は田舎道で車も少なくてなかなか良い。殺風景ではあるがなんだかのんびりとしている。北海道のように集落は突如として現れる。看板にchartresとあると、そこから向こうにはバァーと家並みが続くが、chartresという看板でピタッと終わる。

途中道の脇に水のポンプを見つけた。水の補給にと思いポンプをキュコキュコとやってみたが、無駄。すると近所のおばさんが、「出ないよ、こっちおいで」と自分の家の庭の水道で水を出してくれた。とにかく水は無い。日本のように何処にでもあるというわけでは決してない。水はかなり貴重なのだ。ましてやそれも飲める水ともなればなおさらのこと。

N.20との合流地点にて休憩。大きなスーパーがあったので入る。だいたいこの手の大きなスーパーは、大きな街の郊外にある。このスーパーは今日の目的地、オレアンの郊外にあたる。オレアンからは約20km。

この日のテントサイトはオレアンに入ってすぐのN.20沿いの公園のようなところ。もうちょっと行けば大きな駅がある。約80kmの走行。

翌朝は久々の晴天。走り始めて初めての晴れである。久々の晴れで、テントの中はポカポカと暖かい。で、ついつい寝坊をして、またも出発が遅れる(要するに晴れだろうが曇りだろうが関係ないわけだ)。ツーリストインフォメーション(旅行者案内所のようなところで結構たくさんある)を探し、近くでT/C(旅行者小切手)を換金できるところを尋ねる。が、しかし、インフォメーションにたどり着いたのがすでに正午近く。日本と違い正午から2時頃まで、世の中のあらゆるものが休憩に入る。アンビリーバブル!皆が休んでいる間に働いて稼いでやろうという輩はいないようで(あくまでボクの見た限りの世の中だけど)、銀行や、両替所だってやっていない。しょうがない、ボクはとうとうT/Cを換金出来ぬままに街をでる羽目になった。

天気が良くて気持ちが良い。この日、初めて短パンと半袖のポロシャツ一枚で走る。これまでは長袖のジャージを上下とも着込んでいた。9月ともなれば結構寒いのだ。この日の走行は約110km。出発は遅くても、日が暮れるのが遅いので(7時過ぎから8時近く)結構走れるのだ。まぁ、早く出られればもっと走れる筈なんだろうけど。テントサイトはブールージュの街に入ってすぐのスーパーの近く。スーパーではトマトをたっぷりと買う。安い!トマトは本当に山積みになっていて、「形の良いのだけを選んじゃダメよ」ってなことが書いてあったと思う。そこに一緒に書かれてあったイラストから想像しところってことだけど。で、このトマトがこの日のメインディッシュ。

このまま快調に行けば、明々後日にはリヨンだ。リヨンでは、ちょっとまともな観光旅行者になってやる!うまくいきますように…。

 


オレアンでのテントサイト。もう少し行くと大きな駅があった。
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オレアンに向かう途中の町並み。正午から3時頃までほとんどのお店は閉まってしまうので、その時間の街はとても静か。

ブールージュの街の大聖堂
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ブールージュでのテントサイト。ちょっと人目につきやすいところだったので、少し怖かった。

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