仏蘭西紀行

17 再び、パリ

 9月16日、12時13分過ぎ。トレインNo.820のTGVでマルセイユを離れ る。列車の時刻は目安程度のモノで、あまり正確ではない。本当かどうか定かではな いが、時刻表通りに運行されているのは日本だけだとか。

 TGVはボクが一生懸命、自分の足で走ってきた街々を逆行し、いとも簡単に短時 間で通り過ぎる。パリからマルセイユまで、ボクは約2週間も掛けて走った。TGV は5時間ほどでマルセイユからパリへとボクを運ぶ。途中、モルナ(MORNAS)のヒス トリック村(village HISTORIQUE)を通過する。9月12日に泊まった小さな村 だ。ほんの4日ほど前。行きはよいよい、帰りは…。

   16時59分の到着予定が、実際は17時過ぎ、パリはリヨン駅に到着。そこから 少し離れた東駅までポツ、ポツ歩く。荷物が少ないのが悲しい。喜び一杯で離れたパ リに、少々情けない格好で帰ってきた。そして今度はこんな情けない格好でパリを去 ろうとしていた。

    東駅に着くとまず切符を買うことにする。とは言え、何処の窓口でその切符を求め ればいいのか、全く解らない。目に付いた適当な窓口で、またも時刻表のトレイン No.を指さした。そうすると「それなら○番窓口に」みたいなことを言ってくれたの で助かった。窓口ではまたも早口に全くついていけず、とりあえず頷いておいた。大 丈夫。ちゃんと買えた。後は列車を待つばかり。出発までまだ5時間以上ある。

 とりあえず、ドイツはデュッセルドルフの叔父の家に電話をする。フランスの公衆 電話はカード式のみというのが結構多い。そのカードは確か、すでにIC式であった ように記憶している。フランスに来て初めて公衆電話を使ったとき、かなりやっかい な思いをした。日本の感覚で言うと電話機にカードを差し込むだけで良いのだが、ど うもそれだけではいけないらしい。何だ?たかが電話機ぢゃないか。何故ボクは電話 機如きにこれほどまで悩まなければならないのだ?それほどに悩んでしまった。仕方 がないので、誰かが電話を使用するまで根気よく待ち、じっと観察をした。成る程、 カードを電話機に入れ、その後蓋を閉めなければならないらしい。これでやっと使う ことが出来る。たったこれだけのことに半日近くを費やしたのだ。

 電話では23時発の夜行列車でドイツにはいることを伝えた。さぁ、あとはどうし ようか。とりあえずまだ明るいので、外をブラブラすることにする。少なくなった荷 物をコインロッカーに預ける。コインロッカーは鍵式ではなく、暗証番号式だった。 コインを入れるとレシートのような紙が出てきて、そこにナンバーが記してある。

 そしてボクはパリの街へ、自分の足で出た。

チケット表
コインロッカーのレシート。コインを入れて鍵を掛けるとこんなレシートが出てくる。そこに記されたナンバーが鍵のかわりというわけ。(拡大画像なし)
チケット裏
「暗証番号式なのでレシートを無くさぬよう」ってなことが(たぶん)書かれた注意書き。(拡大画像なし)

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