仏蘭西紀行

20 何とかなって独逸

 この列車は、南下、している。すなわちボクの目的地とは全くの逆方向。だけど、心配することはない。どうにかなる。だろう。車掌さんが随分と丁寧に教えてくれたので、ボクは言われたとおりの駅で降りて、列車を乗り換えた。さて、この場合、チケット及び、リザベーションはどうなるのだろう?買い換えなくても良いのだろうか。まぁいいか。何か言われたらそのときに考えよう。そんなわけで、乗り換えた列車では適当な席に座った。誰も何も言わない。オウケイ、これでいいのだ。きっと。

 列車はライン川沿いをちゃんと北上していった。そこで、次の問題だ。ちゃんとデュッセルドルフで降りられるかどうかだ。ボクはしつこいくらいに車掌さんに尋ねた。「まだデュッセルドルフとちゃうやんな」と、何度も何度も。その甲斐あって「次やで」とわざわざ教えに来てくれた。お陰で無事デュッセルドルフに辿り着く事が出来た。

 駅では叔母と子供達が迎えてくれた。叔母のアウディで家へと向かう。さすがにドイツ。ベンツもアウディもゴロゴロしている。フランスではあまり感じなかったのだが、ドイツ人はデカイ。上にも横にも。ボクだって上背だけでは負けていなかったが…。

 ドイツではこの旅で初めて自動販売機を見かけた。取りあえずフランスではひとつも見かけなかった。ドイツではタバコの自動販売機があった。それもかなりレトロな。コインを投入し、目的のタバコの見本の下にあるレバーをガッシャン!と引き下ろすだけ。ウーム。で、そのタバコはほとんどが両切りであった。


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