仏蘭西紀行

21 ゲルマン民族のジャージ

 まだまだ時間だけはあった。

   デュッセルドルフで叔母にイタリアはローマとヴェニス行きの手配をしてもらった。今度はイタリアだ。

 9月19日、日曜日。デュッセルドルフ空港から出発する。客達は皆フツーの格好をしている。日本で新幹線に乗るような感覚なのだろう。ボクも今度は自転車がない分かなり身軽だ。着替えも盗まれ着の身着のままだったので、デュッセのデパートでジャージを2着とTシャツを何枚か買った。取りあえず大きいのをと、日本で買い物をするような感覚で買った。すると、ゲルマン民族はデカイのだ。縦にも横にも。縦は良かった。しかし、横が大変だ。パンツはボクが二人くらい入ってしまいそうだ。

 イタリアはレオナルド・ダ・ヴィンチ空港に到着する。そこからローマ市内のターミナル駅であるテルミニ駅(そう、あのデ・シーカの名作「終着駅」で有名な!)まではバスで小一時間。バスに乗り込み座ろうとすると、運転手さんに「セニョ〜ル!」と呼び止められた。どうやら料金が先払いだったらしい。それにしても見事なまでの巻き舌だった。

 テルミニ駅からホテルまでが大変。ホテルの住所を書いたメモを片手に、あっちこっちの人に訊きまくる。さっき訊ねた人と次に訊ねた人と言っていることが違う。それはもしかすると、ボクの下手くそな英語のせいかもしれなかったが。道に迷っていると、だんだんと暗くなってきた。もう7時だ。こんな時ホテルの予約をしてあると困る。必ずそこまで辿り着かなければならないのだから。予約していなければ、どこか適当なホテルに入ってしまえばいいのだ。歩き回ること1時間余。その間に道を訊ねた人数、十数人。やっと見つかった。

 辿り着いたホテルは今まで泊まったこともないような豪華(少なくともボクにとっては)なホテルだった。すぐにチェックインし、ロビーで市街地図を買って部屋へ。なんと調べてみると、駅からこのホテルまで1kmくらいしかないのだ。やれやれ。


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