ケルビム オーダースポルティフ
 
02年12月製作。
 オーナーがこのギャラリーを見てメールを下さったのがきっかけで、製作させて貰うことになった。そんなオーナーからのコンセプトを一言で表現すると「長距離を高速で快適に(楽に)走れる自転車」。最初にメールを頂いたのが初夏。それからメールでやりとりしつつ、何度かご来店いただきサイズや仕様を詰めていった。今回のように、オーナーのコンセプトがある程度しっかりしていると、それを柱に話が進められて、そう言う意味では楽だった。

 まずは2ヶ月ほど掛けて、じっくりと仕様を決めていった。そして体の各部を採寸させてもらい、フィッティングスケールにも跨ってもらい、ポジションを決める。それらのデータを元に、ディメンションを決める。

 オーナーの希望はこうだった。「ハンドリングは低速よりも、高速での安定性を重視。スピードにのってから、そのスピードを持続し易いこと。反応の鈍い自転車は絶対イヤ。操縦者の意図に敏感に反応して欲しい。基本的に、スピード出して走ってるときが一番気持ち良い自転車が希望。これらを要約すると、長距離を高速で快適に、となるんですが、『快適に』という言葉は、『安楽に』という意味よりも、『気持ちよく』という意味合いで使ってます。」

 そう言うことだったので、安定性を保ちつつ、なるべくクイックなハンドリングを目指した。また、装飾的な美しさにはこだわらないと言うことだったので、ラグレスフレームにした。

 途中、予定していたカンチブレーキがつかず、作業が中断してしてしまうトラブルに見舞われたものの、年末に無事完成。じっくりと煮詰めた甲斐あって、かなりいいものが出来たし、オーナーにも良い評価を頂けた。