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1日目 走行距離:102km

朝7時、回転木馬前集合。
天気はどよーんと曇り空である。

しかし降っていないので出発ーっ!やったー。

まずは淀川沿いに走る。見晴らしが良く走りやすい。
曇っている方がカンカン照りよりいいじゃないの。
と思ってるうちに、イヤーな風が吹きはじめ、湿気があがる。風が吹くのは、雨が降る前兆だそうだ。

淀川沿いから43号線に入り、車の多い道を走る。
走り出して2時間くらいで神戸に着く。意外に早いので、「あと1時間くらいで明石に着くんじゃないの?」とまっさんに聞くと、まだまだだと言われた。どうやら私の中の地図はかなり歪んでるようだ。大阪〜神戸と、神戸〜明石では大阪〜神戸の方が断然長いと思っていたのだが、違うらしい。今のペースでいけばあと3時間はかかると言われる。

それにしても、走りにくい。車道は危ないのでガタガタした歩道を行く。やたらと陸橋が多く、それを登ったり迂回したり…。
陸橋にぶつかるたび、心の中で叫ぶ。こんな坂、登れねーよー。なんで皆、するする登っていくんだよー。下りも怖いんだよー。こんな急で細いとこ、普通降りて押すんだよー。カーブ、曲がれないんだよー。自慢じゃないけど小回り効かないんだよー。

そんな感じで三宮着。途中、ザザっと降った瞬間もあったが、基本的には曇り空が保たれている。
皆、「雨が降ったら三宮から輪行して帰る」と言っていたが、続いて一緒に行ってもらえる。よかった。でも電車線沿いに走っているので本降りになったらいつでも輪行できる。「いつか私を捨てて電車に乗ってしまうんだわ」と、不倫中のOL気分で、常に心中穏やかではない。N原君はそんな私の気持ちを察して、雨がパラつくたびにこちらを向いてニヤリとする。彼は本当にいい性格である。

塩屋(だったと思う)でズザーッと降りだした。本降りになりそうな感じである。陸橋下に行って雨宿りする。そこでカッパ着用。夫妻に借りたリュックカバーや足カバーも着用。数分かかってやっと準備が終わると、雨が止む。…そんなもん。

せっかく着たのでそのまま再出発するが、走り出して汗をかくとカッパの中がサウナ状態になる。しかも雨降ってないし!
しかし脱ぐために止まるのももったいないので、がんばって進む。急に皆が速く感じ始める。ついていくだけで精一杯な状態になる。息もあがり始める。ウェアーでこんなにコンディションって変わるんだあ、とお勉強になりました。
コンビニで休憩のときにカッパを脱ぐ。Tシャツは汗でぐっしょり。やせたかなあ?

引き続き進むが、垂水でまたまた雨にあう。橋の下で雨宿りをする。うーん、もうすぐで明石なのに!今度はなかなか止まない。走りにくい道や、信号の多さや、雨のせいで、全員に疲労感が出始める。

本当は山に行きたそうだったまっさん&さっちゃん夫婦、四国にうどんを食べにいくツーリングの予定もあったが先約のこちらを優先してくれたN原君、前日遅くまで「つらい酒」を呑み、二日酔にも関わらず「万難を排して」やってきたY永さん…ありがとねえ、ごめんねえ。ふと見るとN原君なんて、口が「へ」の字になり、目がトロンと遠くを見ているではないか。

もうあと少しなので、明石まで行っちゃおう、ということになり、少し小降りになったのを見計らって出発。
そこからは割とすぐ、明石に着いた。出発から約6時間後である。先にたこフェリーの出航時間をみてから、Y永さんがリサーチしてくれていた明石焼屋さんに行くことにする。港付近では、雨が止んだ代わりにものすごい風が吹いていた。自分の意志とは関係なく、進行方向が風で勝手に変更される。コワイ。しかしこれで出航中止になるのはもっとコワイ。しかしどうやら出航される様子、よかったよかった。

お目当ての明石焼屋さん「松竹」は定休日だった。
仕方なく違うところにいく。明石焼を食べ、商店街をぶらぶらし、喫茶店でケーキセットを食べた。
喫茶店では甘いケーキもおいしかったが、さっちゃんがかじっているのを真似して食べた角砂糖がおいしかった。
ブラウンシュガーというらしい。角砂糖なんてかじったことなかったが、甘ったるくなく、香ばしかった。皆様、おすすめです。

商店街を出て、皆は明石駅へ、私はフェリー乗り場へと別れ別れになる。
「君のことは忘れないよ」
「手紙書いてくれ」
「一旗あげるまで帰ってくるな」
等々、Y永さんに惜別の言葉をもらう。…一体私はどこへ何しにいくんや??

皆と別れてフェリー乗り場にいくと、もう船が来ていて、すぐ出発のようだった。船の写真を撮りたかったがそんな余裕もなく、自転車を預けて乗り込んだ。14:55、出航。さようならー。


昼の3時とは思えない海と空の色。

フェリー内では河内屋菊水丸が歌うあの有名な(?)「たこフェリー音頭」が流れており、「ああ、これから本当に淡路島に行くのだ」という実感が湧き、心が弾んだ。「♪たこフェリー」の部分を小さな声で共にくちづさんでみる。
甲板に出てみるが、ものすごい風ですぐに客室に退散。
客室には賑やかなおばちゃんグループとか、サンダル履きのおねーちゃんとか、ビールを飲んでるおじさんとかがいて、皆様肩肘張らずにくつろいでおられた。私にとって船に乗ることは特別で非日常的なことなので、このユルさに軽くカルチャーショックを受けたが、乗船時間20分、料金320円なら地元の方にとってはそう特別な乗り物ではないのだろう。

あっという間に岩屋に着き、自転車を受け取り、ここから本当の淡路島一周ツーリングが始まる。
今日はあと32km走り、洲本を目指す。アップダウンもほぼ無く、晴れなら苦にならない距離だが、Y永さんの言葉を借りれば『「それでも本当に君は行くのか」という天候』である。走っている間にも風向きがビウッ、ビウッと変わり、前から右から左から容赦なく吹きつける。なぜか追い風になる瞬間だけは無いような気がする。全力でこぐ割に、ちっとも進まない。たまに立っているのもつらい風が吹き、自転車を降りて道の端に寄り、動けない時もあった。
しかしまあ、雨が降ってなくてよかった。あせっても仕方ない。まだ時間は早いし、少しずつでも進めば日没までにはホテルに着くだろう。

しかーし。ここで思わぬトラブル発生。
あまりの風の強さでいつ転倒してもおかしくないので、SPDを着けて走るのがコワイ。外して走ろうと思い、左足をひねる。が、とれない。…ん?左足がいつになく外側にも内側にもグルグルと回る。え?どういうこと?どうやらどうやら、よく分からないが、左のSPDが外せないのだ!ぴーんち!頭の中が真っ白になる。右足から着地って、どうやるんやったっけー?と考えるが、パニック状態で分からない、できない。

とりあえず、そろそろと道の端に寄り、フェンスに寄りかかるようにして停止。そして右足のSPDを外し、着地。で、左足のシューズを、ペダルに付けたまま脱ぐ。

ペダルにくっついたシューズの裏側を見てみるが、どうなっているのかよくわからない。シューズはクルンクルンと回り、手で外せない。もう自分ではどうすればいいのか分からず、回転木馬に電話してみる。が、留守番電話だった。そうだ、今日はお店の定休日、しかも店長夫妻の結婚記念日だったのだ。おめでとうございます、店長そしてFUNさん。末永くお幸せに!

…しかし、今の私にとって店長夫妻の結婚記念日は二の次の問題である。
岩屋を出発して8km地点、今日の走行距離をあと24kmも残して、風がビウビウ吹きすさぶ中、片方靴なし状態で途方にくれて立ち尽くしてしまった。
対向車線側にコンビニがあったので、中に入り、店員のお姉さんに「この辺に自転車屋さんありますか」と聞いてみた。
するとなんと、すぐそこにあるとのこと。「どうしたんですか」とお姉さんに聞かれ、「靴が外れなくなっちゃったんです」と告げると不可解な表情をしながらも「大変ね」と心配してくれた。

自転車屋さんの場所を教えてもらって向かう。本当にすぐそばにあった。不幸中のスペシャルラッキーである。スポーツバイクを置いているようなお店ではなかったが、そこのおじさんは右足のSPDを見て構造を把握し、ドライバーを使って、てこの原理でシューズとペダルを外してくれた。クリートを見てみると、二つあるビスの一つが外れて無くなっている。大きさの合うねじをはめてもらって、修理完了。あっけなく命拾いさせてもらった。

右のSPDはポジションがなかなか合わず、しょっちゅうクリートをいじっていたのだが、左はずっとほったらかしだった。いつの間にかビスが緩んで外れてしまったのだ。コワイ話である。皆様、今一度ビスを締めなおしてください。それとも、こんなトラブルが起きるのは私だけ?

自転車屋のおじさんに「早よ行かな日ィ暮れてまうで〜」の言葉で送ってもらう。先ほどのコンビニに戻り、チョコレートを買って、いざ再出発。
相変わらずの強風の中、ひたすらこぐ。時折、海からのしぶきが体にかかる。まだ日暮れの時間ではないのに、かなり薄暗い。
結局ホテルに着いたのは18:30。岩屋を出てから、トラブル解決時間も含め32kmを3時間もかけて走ったことになる。

ビジネスホテルに素泊りなので、近くで温泉に入って、その帰りにどこかで食事をすることにする。
ホテルのおじさんに温泉に入れるところを聞いてみるが、どこも大きなホテルの中にあるもので、値段も高いということなので断念する。そのかわり近くに足湯があるということで、タダのようだし行ってみる。

足湯の前では、手に柄杓と桶を持ったお登勢さんと出会った。きっと親切に皆の足にお湯をかけてあげる人なんだろう。下方からライトアップされたお登勢さんはミステリアスな微笑みを浮かべておられた。


お登勢さん立ち姿。

笑っておられる。

格子に渡した木に腰掛け、お湯に足をつけてボウーとする。一日中緊張していた足の裏がほぐれる感じがした。しかしここは昼間に来るといい感じなのかもしれないが、夜は人気がなく、灯りもあまりないのでちょっとこわい。犯罪については向かいが警察署なので安心であるが、お登勢さんが柄杓を振り回しながら追いかけてきたらどうしよう、と想像すると落ち着かない。寒くなってきたし、しばらくして出る事にする。足がさっぱりして気持ちがよかった。

足湯に行く途中で食事が出来そうな所を物色してみたが、閉まっていたり値段が高そうだったり女一人で入りにくそうだったりするので、近くの大型スーパーで調達して部屋で食べることにする。

スーパーではパックのお寿司、カップ味噌汁、次の日の食料、お水等を購入。ついでに、ふらりと、何気なーくお酒売り場に寄ると、「あわぢビール」という地ビールを発見。せっかく来たのにこれを飲まなきゃ何しに淡路まで来たんだか分からない。種類は3種類、アルトとピルスナーとヴァイツェンがあった。アルトはどうやら黒ビール系らしく、それは苦手なので選択から外す。ピルスナーとヴァイツェン、どちらにしよう、選べない、どうしよう…、仕方なく2本共購入。ビールを買ったからにはおつまみも必要、ということで淡路たまねぎ入りさつま揚げと、ナッツミックスも購入。

ホクホクでホテルへ帰り、早く飲みたいところだが先にお風呂に入ってから。ユニットバスにお湯をため、スーパーで買ってきた入浴剤を入れてゆったりつかる。明日も100km走る予定である。連日でツーリングは初めてなので、念入りに筋肉をマッサージした。

テレビを見ながらお寿司を食べ、ビールを飲む。ハア〜極楽極楽。ピルスナーとヴァイツェン、どちらもおいしゅうございました。


これがあわぢビールだ!


ウヒヒの夜ご飯。

就寝前、テレビを見る。さっちゃんが「サエない男」と一刀両断した田辺誠一が出ているドラマである。やっぱ田辺誠一かっこええがなー、私は見る目があるのだ!とビール片手にニヤニヤしながら見る。人がみたらさぞかし気持ち悪いだろう。い〜気分で23:30、就寝。おやすみなさい〜。

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